◇◆ 福田先生との出会いから ◆◇
USオープンの日本女子選手の活躍は目覚しいものがあります。やはり精鋭が揃えば
互いに切磋琢磨するようになるのですね。この勢いで世界に勇名を轟かせて欲しいです。
さて、ホームページの更新に伴い、テニスの手帖のトップページを若干変更し、
ページ左上に福田雅之助先生の「規」をサムネイルで掲載しました。
これを機会に日本へ”イースタングリップ”を紹介された先生のことにページを割きたいと 思っております。お付き合いください。
「規」は拡大するとお分かりでしょうが、昭和三十年と書かれています。
当時大学でテニスを始めた折、コーチのいない中で旺文社のスポーツ叢書から「テニス」を
買い求め、著者の福田先生に直接手紙を書いたのがきっかけでその後数年間手紙だけの
ご指導を頂いたものです。お会いする機会は何度か先生から作って頂いたのですが、
結局は一度もお会い出来なかったのです。
そのような中で「規」を書いて頂きました。紙は気に入らないといけないからと
お気遣い頂き数枚を送って頂きました。テニスの仲間に乞われるまま提供し、
いまは一枚しか手元にありません。最近になっていろいろな場所で「規」を拝見しますが、 昭和三十年という日時の古さに感慨があります。
先生のお人柄でしょうか、お手紙のご指導は非常に丁寧でした。
いまも時に触れ開くことがありますが、変わらず新鮮に受け止めています。
また納得しながら読んでいます。この先生の態度は踏襲しなくてはならないと、
いまでも気持ちの上では忘れないように努めています。
◇◆ 先生の名言集から ◆◇
自分に適したグリップを採択すべきで、単なる模倣であってはならない。
人生においても、スポーツにおいても、
真面目で熱心な努力こそ、最も意義のあるものなのだ。
練習は一球一打である。漫然と打っているのでは駄目である。
いかに優れた精神力があっても、無い技術は生かすことが出来ない。
練習は試合があってこそ励みになる。試合は練習があってこそ充実する。
目的を決めてはっきりとこの一球を一打する。そこに集中力がある。
スポーツの真髄は「ハードファイト」にある。
理想があって真摯な努力が伴うのである。
◇◆ 先生の基本的な考え方 ◆◇
プレヤーは、相手のファインプレーに対して「グッドショット」と褒める。
相手の惜しいエラーに「ハードラック」とねぎらう。これは他のスポーツには見られぬ
フェアな態度である。
テニスではエラーに対しては、決して拍手をしない不文律がある。
一方、美技に対しては誰彼の差別なく拍手を送るべきである。
スポーツは勝敗の世界である。だから堂々として勝つことは勝つだけの価値がある。
ほむべきである。だが、徒に勝者のみを称賛するだけではスポーツの価値は薄い。
敗者も勝者と等しい精神力と体力を費やしているからだ。寛大な心があって欲しいものだ。
これら全てに込められた思いは、スポーツマンシップの遵守ではないかと思われます。
最近見受けられる情報過多の有様は、ただ単に勝つことのみを追求し、
勝者礼賛の偏重な考え方が激しいと推察されます。
それだけに、何か忘れていませんかと、つい言いたくなるのです。
先生が激しく叱正されるのは、これらを踏み違えたときだけです。
新聞の論評でも精神的に脆弱な態度を見せると、如何に成績が良くともその選手を
「是」とはしなかったのです。
上位にランクされれば周囲の人からは調子よくあしらわれます。
それに対して便乗することを嫌われました。
そのような態度を真のスポーツマンと見なかったからです。
◇◆ 先生のグリップの考え方 ◆◇
日本では軟式テニス(ソフトテニス)の流れを踏襲して、ウエスタングリップが全盛でした。
そのような環境の中でイースタングリップを取り入れようとする態度は、
当時非常に勇気のいる行動だったと思います。
何故なら日本人が最も適切と思っていたウエスタングリップへの挑戦でもあったからです。
先生は語っています。
”私が努力しようとしているところは、むしろテニスをこれから始めようとする人に
対して、一つのヒントを与えてあげたいと思うもので、現在 名を成しているプレーヤーは、
現在のまま突進されることを望んでいるものである。
グリップは習慣性が強く働くもので絶対的なものではないから、
日本人にしてもこれを行いうるものだと確信する。
決してウエスタングリップの排斥者であると誤解して欲しくない。
このグリップも立派にその効力を世界に示しているが、
自分はより合理的なものとしてイースタングリップの主唱者であり、
この二大潮流が日本によく消化されて両々相俟って日本のテニスの発達を期した暁には、
より内容の充実したテニスが生まれてくるのではないかということを思い信じるのである。 あるグリップをすれば自然とそれに合う筋肉が出来上がり、
ある動作のフォームが作り上げられる。
練習を積み経験するにしたがってグリップの値打ちが現れてくる。
一流プレヤーのプレーを見、先人の意見を聞き、自分の身体を考えて、
自分の最も良いと思われるものを選べば良い。
そして一度グリップを決めたら、たびたび変えないほうが良い。
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