NO-15
人よりいい記録を出したいとは思わない。
自分の記録を伸ばすことだけ考えている。
ダン・ジャンセン
1994年のリレハンメル冬季オリンピックで、
スピードスケートの世界記録を樹立した選手です。
当時のコーチは言っていたようです。
「相手に立ち向かうのではなく、一つの理想に向かっていくんだ。
ただ試合に勝つのではなく、完璧なプレーをすることだ」と。
これは試合において、相手を意識するから自分を見失うことを示唆していると思われます。
確かに、無我夢中でプレーをしているときは相手を意識していません。
このような心境でいれば、身体に余分な力が入らなくて、
バランスのとれた良いフォームをしているものです。
しかし、皮肉なことに試合では「勝ち」「負け」が明確にされる仕組みになっています。
無我夢中の境地から、勝利への道が開けた途端に、それは自分自身ではなく、
相手に向けられてしまいます。こうなると、結果は歴然とし相手を意識したプレーは、
自分自身をがんじがらめにするのです。
ここで大事なのが経験となります。
これが自分自身へ向けられたプレッシャーを少しでも和らげる働きをするのです。
技術に左程の差がない場合、いずれに勝利をもたらすかと言えば、
経験から来る自己コントロールの有無にかかってくるのです。
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