NO-53
人生には何よりも「なに、くそ」という精神が必要だ。
・・・嘉納治五郎
講道館柔道の開祖である嘉納治五郎の口癖と言われています。
柔道修行中の彼は、持ち前の負けん気から、
倒れるまで強い相手に組み付いていったと言われています。
しかし、普通の人と違っていたのは、弱い相手にもこの気持ちを忘れないで向かい、
決して侮ることをしなかったようです。
彼が言うこの言葉は、人に勝つより自分に勝てという精神であり、
その理由は、「人に勝つには相手の技を凌ぐだけ、自分の技を磨けば済むことだ。
しかし、自分の心に生じる欲望に打ち克つのは、敵に勝つより難しい」とされています。
勝つには技術以上の力が必要であり、そのための修行を勧めているのではないでしょうか?
子供のころ、当時の風潮から剣道を習っていました。
ある日先生全員が向こうへ並び、
自分の好きな先生と乱取りをすると言われたことがあります。
その時、一番恐い先生の前には誰も並ばなかったのです。
それを見て私は立ち向かったのを覚えています。
普通は子供相手ですから、竹刀を柔らかく受けてくれますが、
その先生の受けは、塀に向かって打ち込んでいるようで、竹刀が跳ね返ってくるため、
小学生の私達には非常に厳しい練習に思えたのです。
何故その先生に向かったのか定かには覚えていませんが、
「なに、くそ」が多少はあったのかも知れません。
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