NO-57
身は軽く心静かに迷わずば、敵の勝気のうちに勝ちあり。
・・・武道秘歌
自流の武道の奥義を歌に表したのが武道秘歌と言われています。
これには様々な武道家の思いが込めれており、
その時代の武道家の間で共感を呼び広まったものです。
冒頭の歌は詠み人知らずとされていますが、
時代の変化に伴い歌も継がれているうちに変わっていきます。
その意図するところは、全身に力を分散し、堅くならず、身を軽くし、
心の置き所に注意し、心をどこにも留めないようにして相対すれば、
敵が勝とうとして動き始めた瞬間に、勝つチャンスがあると言う意味になるのです。
敵が仕掛けてきたときに、逆にこちらに勝機が生まれると言う、
勝敗の微妙な心の動きを現していると思われます。
自分を知るものは相手を知り、その技量を知ることが出来るのです。
その上で決断する行動は、自信から生まれる勇気と、
鍛錬から生まれた妙技とが噛み合ってこそ、本当の意味での力となるのです。
ただ闇雲に勢いに任せて突進したのでは道は開けないのです。
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