NO-12
残念ながら優勝は逃しましたが、ビッグサーバーのロディックの目覚しい躍進に
一役買ったのがコーチの交代と言われています。
報道によると、前のコーチはロディックが幼少の頃から近所に住まい、
いままで関わってきたようですが、
本人の希望で「何かを変えたい」との要望で交代したものです。
長い間の家庭的な付き合いの中で本人は悩んだようですが、
このたびの決断は彼にはプラスしたように思われます。
アマチュアと違い、プロの場合はコーチを依頼すると報酬が支払われます。
しくみがどのようになっているか知りませんが、当然レベルが上がれば収入も
変わりますから報酬額も同じ経緯となるでしょう。
それだけにどの程度トップレベルの選手と関わりあったかによって、
コーチの評価も変わるのでしょう。卑近な例で言えば、
プロ野球の監督やコーチも同じで成績如何によっては処遇も変わるのです。
しかし、自分がプレーして結果を出したのなら諦めも付くでしょうが、
指導する選手の出来不出来で評価されるのは考えてみれば因果な職業とも言えます。
しかも、目の前でのプレーを見ながら、実際に修正すべき部分を把握しているにも
関わらず何らのアクションも取れないのは、
コーチにとって歯がゆい思いが増すばかりでしょう。
このときコーチはどのようなことを考えているのでしょうか?
自分のアドバイスを汲み取って欲しいと思っているのか?
それとも、もうお前の出番だ思いっきりやるしか無いんだから、
一人で頑張ってみろと思っているのか?どうなんでしょうね。ぜひお聞きしたいです。
NO-11
選手を育てることの難しさは大変なものです。
今回のウインブルドンも、早速にロシアの新鋭シャラポワが、
十一シードのドキッチを破って4回戦への進出を決めました。
ポイントへ近付くごとに右手を握りしめ、懸命に集中している姿はとても新鮮で
清々しさを感じました。何も考えないのは、この集中と言われる行動になるのでしょうが、
少しでも周囲が見えてくると雑念が入り込んできます。解説者が言っていたように、
ドキッチは現状の打開に際して経験があるだけに、
技術でかわそうとしたのではないかと思われます。
しかし、シャラポワはそのようなことには目もくれず、ただひたすらボールに集中して
いたわけですから精神的に揺るぎの無いものがあったのでしょう。
このような新星を見出し育てることは、コーチとして極まりない喜びではないでしょうか? しかし、自分がプレーをするのではないだけに選手との距離感をどのように取るかが
ポイントになります。前にも言いましたが自分のものと思ってはならないのです。
得てして自分の思うような形に嵌めようとする傾向が強いように思われます。
それでは伸びるべき選手が伸びなくなってしまいます。
コーチは選手の可能性を求めて模索するべきであって、
自分の考え方を押し付けるものではないのです。
極論になると思いますが、選手の可能性を自分の視点以上に置かないと、
自分以上の選手は生まれないのではないでしょか?自分のレベルでしか判断できないでは、
選手が気の毒ではないかと思われます。最初の頃に書いたと思いますが、
外国人のコーチにはスポーツ有名人は少ないのに、日本人はどうしても有名人に
頼ってしまう傾向があるようです。これは今後の日本のスポーツ界において
再考しなければならない課題だと思われます。
NO-10
高校総体の団体戦を観戦しました。団体戦になると先生方の目付きが変わりますね。
これは当然と言えば当然のことでしょう。
しかし、それによってルール違反している先生方が如何に多いか?
目に付いたものを書き出してみます。
決して意地悪ではなく、どのように思われるかを知りたいからです。
? 1ゲームが終了する度に、そばに呼び寄せアドバイスをする。
? プレー中の選手に対して、ジェスチャで盛んにアドバイスをする。
? ベンチから、試合中に我慢出来なくなり声を出してアドバイスをする。
? ゲーム終了後、コート上で選手に今の試合のアドバイスをする。
これは団体戦が終わると更に長くなります。つぎの出場校が控えていることは
よく分かっているはずなのに。
このために、試合が長引いているのは確かですね。それにしても1セットゲームは
選手に可哀想だと思います。高校はシングルスとダブルスに重複出場が出来ないので、
体力的にも余裕はあるはずですから、予選は地区別に実施する等の方法を取ってでも、
充分な状態でやらせたいですね。もっとも精神的に緊迫して参ってしまうのか?
1セットでバテバテの選手もいましたが、これは論外でしょう。
NO-9
その選手が上手か下手か見分ける方法は簡単です。
上手な選手のラケットは身体の回転の後から付いてくるように感じられます。
しかし、下手な選手のラケットは、身体の回転より先に動いてしまうのです。
別の表現をするなら、身体の回転に伴うスイングは安定感があります。
しかし、そうでない場合は、ラケットで強く打とうとするため身体から離れてしまい、
ラケットが一人歩きをしてしまうのです。
これを是正するには、基本的なスイングが出来ていないわけですから、
ストロークの乱打をしていては駄目です。恐らく永久的に是正は出来ないでしょう。
推奨するのは球出しです。
サービスコート内に位置して、フォームをチェックすることです。
目標はバックラインです。
腰から上のボールになるよう球出しをしてインパクトを感覚的に覚えることです。
次いでバックライン辺りへ下がって同じことを繰り返すのです。
どうしてもボールを呼び込みすぎる場合は、
球出しを前からではなく後ろからするのも必要です。
この際選手はボールを後ろから前に追っかけては駄目です。
ポイントを自覚するだけのためですから(ボールが本来後ろから来ることはないのです)。
このような方法がある程度覚えたら、
今度はスプリットステップを入れながらチャレンジすることです。
これでボールをどの位置で打球すれば良いかが習得できます。
最後にセンターへ位置し左右の動き、前後の動きを取り入れてゆけば、
ストロークへの自信が湧いてくると思われます。
NO-8
細かいことへの目配りが大切です。
試合が開始されるとその必要性が益々大きくなります。相手の表情やいつもと違う感情の
動き、これらを的確に把握することが、ストレートに勝敗へと影響してゆくのです。
感情的な面がすぐ表情に表れる選手はある面では扱いやすいものです。
表情の変わらない選手は内面を覗くことが出来ないので扱いにくいのです。
このように精神面の掌握は早めに行い対応する必要があります。
一方、身体面ですが、精神面と違い表情を変えない選手も、何気ない仕草の中に変化を
訴えるものです。身体が硬いなと思えば屈伸運動をしているし、
足が攣っていると感じたら、足を前後に振ったり、足首を伸ばしたりするものです。
そのような僅かな動作を見ることで戦い方も変わってきます。
足や腿に異常を感じているなと気づいたら、左右より前後に動かすことが相手には
ダメージが大きくなります。身体面は試合中に発生したら早めに修復しようとします。
これは選手の本能的な動作ですが、それが身体の別の動きとなって出てくるのです。
試合に際しては、余程の余裕がないとこのように相手の行動に目配りをすることは出来
ません。これも練習の際に、同僚等の動作にも絶えず注意をしていれば気づく事です。
どのようなことでも自分の勝利のためにプラスとなるなら、
それこそ貪欲に吸収するべきだと思います。一方の考え方として、
スポーツマンシップにもとるのではないかと思われるでしょうが、 ルール違反や
不正な行為をしているわけではありません。相手のエラーに歓声を上げたり、
ラリー中に大声を上げる応援とは比較にならないものなのです。
NO-7
テニスをメジャーなものにしたい。と言う気持ちはなくなりません。
それは砂上の楼閣ではなく、現実としてそうありたいと願っているものです。
いつも感じることですが、メジャーなものにするには、選手自体が切磋琢磨しレベルを
上げることが要求されます。では、その成果をどのように評価しているか?
これは選手に要求すべき事ではなく、周辺の皆さんがサポートしなければならない事です。
それがあって初めて選手の結果が正しく評価され、それに伴いレベルも上がると
思われます。しかし、現実はそのような考え方とは程遠い状態です。
各地における選手の活躍は、地方紙にすら掲載されないのです。
自分の名前が新聞紙上に掲載されることがどれほどの励みになるか?
これは想像以上のものがあります。
人間は自分を正当に評価されることで上達するものです。
特にスポーツマンはチャレンジする気持ちが高いため、自分に対する評価を非常に
大切にします。
極端な話ですが、日本に住んでいる私たちには、松井やイチローの活躍は全く
関係のない話です。イチローは全国区だが、松井はニューヨーク区で留まっていると
聞いています。活躍をしている選手は実力があるわけですから、それなりに評価すべき
でしょう。しかし、もっと日本で頑張っている選手に、光を与えることも必要ではないかと
思われます。彼らは得意な分野で懸命に努力をしているのです。それだけに
少しだけでも光を与えることで彼らのチャレンジ精神にプラスされるならと思うのです。
NO-6
先日北海道のソフトテニス部の先生からメールを頂きました。
メンタル面の強化に注力されたとあり、最近になってその効果を感じるようになったと
書いていらっしゃいました。
メンタル面のチェックは本当に難しいと思います。
話をして、その良さを否定する選手はまずいません。しかし、
だからと言ってそれを実行しようとする選手も期待するほどいないのです。
勿論皆無ではありませんが、少ないのは事実です。
一番の問題点は、即効力がないためでしょう。
眼に見えるレベルアップには繋がりにくいものがあります。
メンタル面が充足されても技術面が不足であればどうしようもないからです。
これから考えますと、いずれかが必要ではないのです。いずれも必要なのです。
試合が終了後果たして何人の選手が反省のメモをしているでしょう。
頭の中で反省しても駄目です。筆を取ることでそれが身に付くのです。
しっかりと確認が出来るのです。私が選手の試合や練習での気づいた点を
メモして渡してました。選手の中にはそれを遠征に持参して繰り返し読んでいたと
聞いたことがあります。競技は同じことの繰り返しですから、
しっかり認識しておかないと失念する事は多いのです。
技術面では練習で繰り返し行いますから、それによってレベルアップはしますが、
メンタル面は調子が良いと忘れてしまいます。
これがステップアップできない原因でもあるのです。
非常に単純な繰り返しがレベルアップに通じることなのだと言うことをもっと選手たちに
分かって欲しいです。
武者小路実篤さんの言葉の中に、
「いままで届かなかった枝に、ふと気が付くと届いていた」と言うのがあります。
技術もメンタルもすべてここに集約されると思います。
日々の努力が精進が届かなかった枝に届くようになるのです。
NO-5
前述の試合で感じた指導者の選手への対応で、試合中のコーチは禁止されているにも
関わらず、コート外から大きな声でアドバイスを送っています。大きな声ですから当然相手の
耳にも入ります。また、その都度分かったと言う意思表示で後ろを向く回数も増えています。
ピンチになればなるほど、チャンスになればなるほどエキサイトしてくるようです。
しかし、選手の立場から言わせて貰えば、試合に入ったら技術的なアドバイスは、
どんなに懇切丁寧に話しても聞く耳を持たないものなのです。
コートへ入ったら自分がプレーしているわけだから、自分の考えに任せて欲しい・・・・
のではないでしょうか?そうでなければ、コーチがいないと試合にならないケースが出来て
きます。それより選手の技術面・精神面の動きをしっかりと受け止め、試合後に選手と
話し合うほうがどれだけ選手の役に立つか分かりません。
指導者の立場から考えれば、自分の思うように試合が出来ない選手に苛立ちを感じるのも
分からないではありません。しかし、プレーをするのは選手です。
自分と同じ実力・同じ精神面を選手に要求するのはどうでしょうか?
それがひいてはルール破りのアドバイスとなるならマイナス面だけが残るようになります。
このようなことは本来私などが口出しすることではないのです。
ただ、心配なのは中学・高校での練習による影響から、大学や社会人になってテニスから
遠ざかる選手や楽しむだけのテニスへの移行が増えている現状です。
部活より同好会への参加が増えていることに危機感があります。
NO-4
前号でコーチの精神面の指導における使命は、プレーヤーたちに「その競技に勝とう
と思う強い気持ちを持たせる」のと同時に、それらが「スポーツマンシップに
基づかないかぎり意味がない」ことを知らしめる必要がある。
と書きましたが、しばらくして下記のようなメールを頂きました。
その内容は私も同感であるため、お許しを頂いてご紹介させて頂くことにしました。
読者の方のご意見お聞かせくだされば幸いです。
先日、ある試合の場面で気になる事がありましたのでメールさせて頂きます。
先日「全国選抜高校テニス選手権」の決勝が放映されました。韓国籍の選手でしたが、
とてもいいストロークで、N高校の選手からリードを奪っていました。
もう、勝負がつくか・・という時、私はビックリしました。と、言うのは、
その選手がコートに唾を吐いたのです。この選手は勝ちました。
そして、もっと信じられないことは、その選手が「最優秀選手」に選ばれたことです。
コートに唾を吐く・・。こんなことが許されていいのでしょうか?
しかも、そんな選手が「最優秀選手」だなんて、信じられません。
試合は本当にその選手が頑張って勝ったのだと思います。でも、それ以前に、
もっと考えなえればならないことがあるのではないでしょうか?
それともY高校では、コートに唾を吐く行為は当たり前にように行われている
学校なのでしょうか?そして、指導者も同じように唾を吐くのでしょうか?
こんな学校がテニスの名門校だなんて、失望です。
外国の方は、日本人ほど「唾を吐く」ことに特別の意識はないようです。
しかし、郷に入れば郷に従えではないでしょうか?日本人の感覚では、
つばを吐くという行為は「唾棄」という表現で、相手を軽蔑している意味がある
と理解しています。また、競技をするものにとって競技場は神聖な場所です。
汚してはならない場所なのです。メールを頂いた方にとっては、
選手に対する驚きもさることながら、運営関係者がこの選手を最優秀選手に選んだ
事実に我慢ができないようです。
いまでもソフトテニスの選手に感心するのは、ゲームが終了するとコートに向かって
一礼する行為です。テニスでは部活で練習の終了時に同じ行為をすることはありますが
試合後はやりません。その是非は別としてこのような選手はまずコートにつばを
吐くことはないと思われます。物の考え方と言ってしまえばそれだけですが、
自分自身をいろいろな意味で鍛えてくれる場所を、大切にする気持ちを失っては
競技する意味がないと思います。
掲載お許しのメールを送信した際、その方から次のようなメールがありました。
「掲載することで少しでも、テニスのマナーや楽しみ方が向上したり、
反省を促せるものでしたら、喜んで紹介して下さい。
みなさんが楽しんで、テニスをプレーしたり、観戦したりするための常識として、
紹介していただけたら幸いです」・・・・このコメントに反発出来ますか?
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