09/3/15
<テニスを始めたころ>
大学の合格発表が始まっています。
桜シーズンを迎えて悲喜こもごもの一時期が始まるのです。
懸命に努力し、無事合格された各位にはお喜び申しあげます。
しかし、不合格の皆さんも決して諦めることなく、
次を目指して変わらぬ夢を求めて突き進んで頂きたいです。
どのような場合も夢は追い続けて欲しいです。
高校へ・大学へ入学された方に、お祝いを込めて行われるのが部活への勧誘です。
先輩達の優しく心温まるプレゼンテーションで、入学の喜びを実感するのです。
思い起こせば、今から57年前に大学への入学でした。
不思議なことは、これで好きなテニスが存分に出来る、
と思ったことをはっきり憶えています。
それだけに、部活の勧誘場所にテニス部というポスターがなく、
探した末に運動部のボックス付近に、「硬式庭球部へ→」と書いた案内を見つけました。
部室には誰も居なく、入部希望の友人と二人でコートを探すため、
広大なキャンバスを自転車でウロウロしました。
やっと見つけたコートで先輩はプレーしてました。
早速挨拶して入部の意思があることを伝え、
ついでのようなあまり締りの無い入部が終わりました。
しかし、入部して知った硬式庭球部の実態には驚きました。
4年生が4人、3年生が2人、これがすべてでした。
いまではは考えられないでしょうが女性は居ません。
当然ながら、友人二人での練習が始まったのです。
これらが自分にプラスとなったのは、
1年生で部活に大切な大学学生部との交渉をせざるを得なかったことです。
単純に練習だけでは済まなかったのです。
普通なら有り得ないことをせざるを得なかった実態は、
確かに貴重な経験となりました。何故なら、それはたちまち2年生で必要となったからです。
2年で早速決まったのは、部活のための合同プレゼンでした。
友人が、広い講堂の壇上に立ち拙い原稿を読んでくれました。いまはその彼も天国です。
その影響か、その年には十数人の入部がありました。これは忘れられない感動でした。
1年の時勧誘した同僚を含めて、新しい硬式庭球部が誕生したのです。
大学では、教授か助教授が部活の部長としてバックアップして頂きました。
高校時代の、先生という感覚の違いに暫くは戸惑いました。
2年になって、テニスが好きな連中の集まりですから、
その練習も自分たちが主導になり拍車を掛けましたから、
教室よりコート集合が多かった状態でした。
硬式庭球部を充実させる必要があると、
部報を作り部室への参加を上げるためにミーティングの回数も増やしました。
練習の中身は濃いかった思い出があります。
その中で、練習が済むとコートサイドで互いの評価をするのですが、
そのとき数人が吸っていたタバコの火が、薄暗いコートで明るく輝くのが印象的でした。
当時の1年と2年の結束は固く、年齢差無く切磋琢磨した時代です。
いまでも当時の連中とは年始の挨拶を交わしています。
それだけ絆が固かったのでしょう。
医学部先輩は6年ですから、直の先輩より2年間はお世話になっていました。
一緒に遠征したり、練習を重ねてましたから、直の先輩より関係は深かったです。
いずれにしても、同輩や後輩と新しい部を築き上げたという自負があり、
他の部では考えられない4年間は、社会生活に入っても役立ったと思います。
<マナーのありかた>
最近のスポーツでは、マナーがルールの中に挿入されるケースがあるようです。
そうなると、その内容は詳細に決められないといけないと思われます。
本来、マナーは競技をする上で必要とするものです。
決してマナーがあって、ルールで規制するものではないのです。
マナーは競技とは別のものです。
マナーがどのようであれ、競技は進めら勝敗は付くのです。
しかし、規則が無ければ勝敗の判断が付かないのです。
これを履き違えたら大変です。
禅問答ではありませんが、マナーはあくまでもスポーツマンシップに則ったもので、
相手を尊重することから生まれるものです。相手を慮るから美しいのです。
日本の武道は「礼に始まり。礼に終わる」と言われます。
現代のスポーツでは勝敗が決まり、
互いが相手の健闘を称えあっての握手が「礼」なのです。
試合中に自分の拙さを棚上げして、ラケットを投げたり、コートに叩きつけたり、
ボールを蹴り上げたり、との行為はどれほど強くても選手の価値はないです。
戦いの場が、心身に与えるその影響が激しいだけに、
自分を見失っては勝利宣言することは出来ません。
それは、自分を厳しく見つめるからこそ可能なのです。
自分以外のものに不満をぶっけるのは、
結果から言って甘やかしでしかないのです。
自分に厳しいことこそが、どのようなトレーニングより勝るのです。
<今月の言葉>
何もないのが当たり前
失敗が許されない業務
個人の力、自ら考え行動する
指示が無くとも行動する
どうしてそうなったか? トラブルが起きる前に考える
待っているだけではなく、自分から動くこと
航空管制官 堀井不二夫
09/3/1
<選手とコーチ>
スポーツの世界で、競技内容が大きく分かれるのは、団体競技と個人競技でしょう。
団体競技では、監督・コーチ・選手で個人競技では、コーチと選手に分かれます。
それぞれ、担当として重要な役目を持ちますが、
団体と個人ではその内容が大きく変わります。
勝つためには、どのような体制が必要なのか難しいところです。
団体で監督が必要なのは、管理すべき選手が多いためです。
勝つために選手をどのようにシフトするか、どのように闘うか、
監督の役目は全部を掌握するには不可欠です。
このように見ると、個人競技で選手の負担は大きくなります。
コーチは団体であろうと、個人であろうと必要であり、その内容は変わりません。
競技に於ける、それぞれの必要性はあるのですが、
基本的に選手をサポートするコーチの存在は、
その重要性に反して希薄であるような気がします。
外国において、コーチの存在は非常に高く、その知識は広範に亘っているようです。
日本人には薄い事業と言う感覚が強いようです。
それだけ知識の習得には真剣ではないでしょうか? 一人の選手を育成するのが、
商品の開発と同じような目標としているのかも知れません。成長が頼もしいでしょう。
コーチは、選手にとって何よりも頼りにしている存在です。
それだけに、選手の期待を裏切ってはならないのです。
選手をあらゆる角度から見なければならないのです。
いま心配するのは、経験者を主体とするコーチ陣の採用です。
昔から言われているように「名選手必ずしも名監督ならず」がよく聞かれる言葉です。
コーチは、選手を自分の分身と思ってはいけないのです。
自分のレベルアップと考えなければいけないのです。
それには、自分を基本にしてはいけないのです。
自分の理論を重視するコーチも大切ですが、
その理論がどのように形成されたかを考えることです。
怖いのは、自分の経験値をよりベターと判断することです。
自分の経験値だけでコーチをすると、選手はコーチ以上には育たないのです。
コーチが、自分を客観視すればするほど選手は成長するのです。
決して、今の自分に満足してはいけないのです。
ただ単に技術だけを練磨すれば良いのではないのです。
その技術を生かすメンタル面を忘れてはいけません。
コーチの難しさは、自分が他人から習得するより格段に難しいのです。
それは選手は自分ではないからです。
あくまでも選手の気持ちを推量しながら進めるのです。
選手も、自分のあるべき姿を求めながら努力しています。
その中で、コーチは自分の考えにとらわれてはだめです。
あくまでもどうすれば選手が成長するかを考えるべきです。
最近TVでテニスの放映が盛んです。
そのとき、解説者はその殆どがテニスコーチと言う肩書きを持っています。
これがとても不安なのです。
コーチが解説をするのは、これほどの困難はないと思います。
あまりにも、出来事の周辺の判断が多岐になり、一言で言い表すことが難しいからです。
選手は、ボールに対する実際面での判断をします。
それが可能だからボールに充分対応できるのです。
しかし、コーチは先を読みすぎるのです。
コーチは、技術面・精神面・フィジカル面を統一的に学ばなければいけません。
しかし、これらの習得のためにどこで勉強しているのかと思います。
技術面で、女性のダブルのバックハンド、私は強制すべきでないと言うのが持論です。
しかし、いまやフォアハンドまでダブルになっています。
それを、すべての選手に固執するコーチの考えがよく分かりません。
持論と言っても、すべて拒否してのではなく、選手によって
適・不適があると言うことです。
コーチの適正は、選手の能力をいち早く察知し、そのレベルアップを、
選手の能力に応じて判断し、選手への方向性を明確にすることではないかと思います。
例えば、今のラケットより、数段重いラケットの時ですらシングルハンドだったのに、
何故それよりラケットで軽いのにダブルハンドなんでしょう。
エナンのバックはシングルでありながら、身体を充分に使ったボールの勢いは強烈です。
ダブルの勢い変わりません。ならばリーチの広いシングルであるべきでしょう。
コーチの役割は、選手に教えれば良いと言うのではないのです。
多くのコーチが、選手の育成に努力されていると思いますが、
ご自分の勉強を忘れないで下さい。
<今月の言葉>
美味の極み 死ぬまで勉強です
手間をかけ、もう一手間をかける
良い素材は誰がやっても良い味になる。
以外の素材をいかに良い味にするかが腕だ
あるものを使うのが料理人や
いつも考えることは、本当にこれで良いのか
どうすれば昨年より美味しいものが作れるか?
プロとは、お客様の気持ちが判ること、それを把握してから料理を作ること
料理人 西 健一郎
お金を稼ぐことに注力する
プロでも失敗する。失敗を恐れてはいけない
打ちのめされても、立ち上がることが大切だ
スイングは身体が覚えなくてはいけない
1000回スイングして、1000回同じスイングが出来ること
プロゴルファー 杉浦 輝雄
20年間悩みっぱなし
挑み続けるものに限界はない
小さなことをきっちりやる
もっとうまくなりたい
負けるのは何かが欠けていると思っている
騎士 武 豊
09/2/15
<全豪オープン>
4時間20分の激闘は、ナダルがフェデラーを下して初優勝をなし得ました。
フルセットですから、文句の付けようのない優勝戦だったと言えるでしょう。
結果から言えば、これで1億2千万近い賞金は高いのでしょうか?
安いのでしょうか?ナダルは、賞金よりも優勝の獲得を喜んでいるでしょう。
それにしても、ハードコートはフェデラーと言う定説を見事に打ち破った、
ナダルの強さは底知れないものがあります。本人も満足しているでしょう。
フェデラーは、相変わらず冷静な態度の終始し、ナダルの勢いが目に付きました。
それは、ある意味フェデラーを凌駕する精神面かも知れません。
試合の経過は、時間を忘れ圧倒された思いだけが残りました。
その迫力に言葉がないです。これこそ勝負だと思いました。
すべてのテニス愛好家に見て欲しい試合です。
あれほど厳しいボールを、あれほどまでに容易く打てるものなのかと目を見張る思いです。
まるで並みの選手がストロークしているようでした。
サーブ&ボレーの単純明快な試合運びも、それなりの価値はあります。
しかし、今回のようにフォア・バックが入り混じったラリーの応酬はさすがです。
<ダブルスのあれこれ>
36、ダブルスの基本は、ボレー・ボレーです。
この場合、クロスを守る選手がやや後ろで構え、
ストレートを守る選手にチャンスを作るのです。
37、サービスゲームの基本は、相手の弱点を攻め、
威力なく返球されるボールを攻撃するパターンです。
この場合前衛がポーチして決めるのです。
38、その時、レシーバーのパートナーが、サービスライン近くにいれば、
攻撃はその足元を狙って決めるのです。
無理してクロスを狙うことはないのです。
39、速いラリーの場合は、コース変更が難しく、
それだけにコースを絞り込めるのでポーチに出るチャンスです。
思い切ってポーチをすることです。
40、二人ともボレーが得意のペアはそういません。
そのときは苦手なプレヤーを狙って先制攻撃し、
エラーを誘えば相手も戦意喪失するのです。
41、ボレーが苦手の選手は、攻め場所として相手のバック、
それも身体中心でフォアよりが得点出来やすいのです。
緩いボールも案外効果があります。
42、相手ペアがロブを使わないと見たら、ネットに思い切って詰めましょう。
それでボレーのポイントが増えてきます。
最初からロブを考え後退しないことです。
43、女子の場合は、雁行陣を基本的なパターンにしているケースが多いです。
これは、後衛が相手をストロークで振り、その返球を決めるわけです。
44、後衛が打つショットのコースは、クロスへの深いボール、
ショートクロス、センターへのボール、の3コースが基本的なパターンです。
45、雁行陣で戦う、女子のダブルスで大事なのは、ロブの活用です。
ロブを使って、相手後衛を振ればいいのです。
相手を走らせチャンスとするのです。
46、相手がロブを使っても、走ることで体勢を崩しますから、
その返球ロブが甘くなる可能性は高いのです。
充分に反応することが必要です。
47、相手二人のレベルが同じは少ないです。どちらかが弱いものです。
それをいち早く察知し、弱点を徹底して攻めましょう。勝負に情けは無用です。
48、相手の得意・不得意を素早く察知して、不得意を攻めましょう。
相手も同じように考えています。
どちらが先手必勝で試合を優位に進めるかです。
49、試合の進め方は、やはりロブの活用が必要となります。
これを、徹底して考えないと試合で後手を踏むことになります。
やはり先手必勝です。
50、雁行陣の多い女子ダブルスですが、今後の大きな課題として、
平行陣への移行を考えて欲しいです。
サービスからの突進ではなく、一拍置いての前進です。
<今日の言葉>
「最終的には、自分の判断を信じるしかない」
「その場その場でできることをやるしかない」
「満足したら、職人は終わりだと思う」
「昨日の自分を追い越したいと思う」
「プロとは、挑戦し続けることで、逃げたら終わり」
「勝たねばいけない、負けてはいけないと思うことで、
実力の100%が70%60%と落ち込んでゆく」
「勝つ重圧で消極的になる」
「結果がどう出るか すべてはそれだ」
09/2/1
<勝者の驕り>
朝青龍の優勝決定戦でのガッツポーズが、いろいろな形で報道されています。
かなり前から相撲界では禁止されていたようですが、
その理由の中に「敗者への思いやり」があります。
他の理由は不要であり、これだけで充分だと思います。
勝てば良いという勝負では何をしても良いでしょう。
しかし、スポーツマンシップを基本とする勝敗ではあってはならないのです。
自分の目の前で同じ行為をされたら、どのような気持ちになるか考えないのでしょうか?
常勝経験者には希薄なのでしょうが、それだけに大切なことなのです。
敗者への思いやりがない競技は、スポーツではなく喧嘩ではないでしょうか?
それがあってこそ、広い意味で社会生活にも通じるものだと思われます。
最近のテニスでも、ポイントを上げると、
相手に向かってこぶしを挙げるガッツポーズが見受けられます。
見ていて恥ずかしい思いです。決めた嬉しさ以上に相手を慮るべきです。
真のトップランカーこそ、その競技態度は謙虚であるべきです。
謙虚だからこそ、相手を慮る態度が生まれてくるのです。
そこに余裕が出来るから更に強くなるのです。
<全豪オープン・あれこれ>
先ず、期待の男子は錦織が無残でした。特にプロは勝てなければどうにもなりません。
ただ、ひたすら勝つしかないのです。それだけに試合後のコメントにはがっかりです。
プロが、負けて「もっと練習をして置けばよかった」はないでしょう。
当然のことをしなかった、
自分の不甲斐なさに腹立たしかったのか事情は分かりませんが甘えちゃだめです。
どうしても、比較されるのでしょうが、ゴルフの石川は考え方も立派だと思います。
逆に、注目され過ぎ可哀想になることもあります。
しかし、それがプロではないかと思われます。
先日、「無事これ名馬なり」と書きましたが、基本的にはこれに尽きると思います。
プロの世界では、技術だけで勝ち抜くことは至難です。
それは充分に分かっているでしょう。
力はあるのですから、充分に体を休めて今後の試合に望んで欲しいものです。
今になって、エアケイは身体に負担を掛けるからと言いだすマスコミには辟易します。
周辺を見て感じるのは、バランス感覚ではないでしょうか?
一方に偏ることに危機感を憶えます。
いつも安定した力はバランスが良いことから起こることを知るべきです。
伊達の場合は、予選から上がってきました。その頑張りは大したものです。
それにしてもマスコミは相変わらず騒ぎすぎです。
いままでどれほどの選手が予選から上がったでしょうか。
その若い選手に、これほどの報道をしたでしょうか?
これでは選手は育ちません。若い選手は、伊達と戦う前にマスコミと闘っているのです。
いや偶像化した伊達と闘っているのです。
1回戦で敗戦した伊達に対しては惨めなものです。
これでは、今まで地道に努力してきた伊達の力は、全く評価されていないことになります。
判断はマスコミがするものではないです。
いろいろな条件を考えても、これから伊達がプロとして生き抜くことは無理だと思います。
安定した生活の中に、どれほどの余力があるでしょうか?
後輩の不甲斐なさを感じます。
杉山はシングルスでは昨年に及びません。ダブルスへの思いが強いのでしょうか?
日本人の体格から、プロで通用するならダブルスだと思われます。
プロだから仕方ないのでしょうが、どこまでペアの相手に拘るのか分かりませんが、
それにしてもペアが外人であることに抵抗を感じます。これは私だけでしょうか?
ダブルスで、全豪オープンに挑戦した杉山に期待したのですが、
女子でも技がパワーに勝てなかったようです。
杉山の動きは簡単に出来るものではないです。
パワーに対抗するためには、全開に近いこのような動きがあって
初めて対抗できるものです。あれほど動けるとは思いませんでした。
勝ちたかっただろうなと思いました。
結論から言えば、優勝戦で完全にねじ伏せられたことになるのですから、
その悔しさは余りあるでしょう。ウイリアム姉妹は、継続してペアを組むでしょう。
夢は見るものではなく、実現するために見るものである。とはよく言われる言葉です。
人間は、夢の実現に向けて変わります。これは当たり前です。
ならば良い方へ変わりたいものです。
09/1/15
<新年早々の情報>
ワイルドカード(主催者推薦)で海外ツアーに参加した伊達が、
1回戦で敗退したという情報が入りました。
13年ぶりの参加と結果をどのように判断すべきでしょう。
試合後のコメントが、「勝ち負けよりツアーを楽しみたい」
では語るべき言葉もありません。
そのような言動は、伊達のイメージを壊してしまいます。
キッズテニスに、自分を捧げる気持ちはどうしたのでしょう。
あれは一体なんだったんでしょうね。
日本の女子選手が、対等に闘う実力不足を自分の実力と思ったのか?
選手を育てることが、どれほど難しいか知らないことはないはずです。
であれば、もっと真剣に選手の育成に心を傾けるべきではなかったのでしょうか?
先日、石川遼の練習を放映したようです。私は見ていませんが、
プロが自分の練習を見せるものではないです。
何故なら、練習は当然だからです。
プロは、その努力の結果を試合で見せるべきなのです。
彼は考え方もしっかりしていますが、
このようなことからプロとしての心構えが希薄になるのは怖いです。
ヒーローが出るといつも気になるのがマスコミの対応です。
読者へのサービスと言えばそれまでですが、
より優秀な選手を育てるためには時機をよく見てもらいたいです。
錦織の試合はベストエイトならずと残念な結果でしたが、
昔からスポーツ界でよく言われる言葉に「無事これ名馬」があります。
彼の試合を見ていてフト思い出しました。
あの若さで怪我の多さは、どこか脆いところがあるのではないかと心配です。
コーチがいるはずですから、その辺の管理は問題ないと思われるのですが・・・。
もう一つ、解説者が試合にのめりこんでは駄目です。
試合の解説をすべきで彼の応援者ではないんですから、
冷静に第三者的な状況判断が出来なければ聞き苦しいだけです。
<コートへ入る前の準備復習から試合へ>
21、レシーバーのパートナーは、サーバーサイドの攻撃を防ぐことです。
サーバーサイドが優位なダブルスでは、パートナーの役割が大事なのです。
22、サービスを打ち返すのはレシーバーですが、
パートナーが何もしないではいけません。
このとき相手チームのパートナーの動きを観察するのです。
23、サーバーサイドのパートナーが、仕掛けてくる攻撃の大半は、
ポーチだと思います。
しかもその標的はレシーブサイドのパートナーとなるのです。
24、目標となる理由は、ネットに近いためポーチに対応することが難しいからです。
ボレーを打ち込むコースとして、相手パートナーを狙うことだからです。
25、ですから、レシーバーのパートナーは、
サーブがネットを越えたら相手の動きに注目し、
狙われたらそのボールにコンパクトに対応するべきなのです。
26、大事なのは動くことで相手にプレッシャーを与えるのです。
何もしないで決められるより、
動くことで相手の行動に変化を与えればエラーを生じるからです。
27、ポーチに対応するパートナーの位置は、サービスラインとセンターラインから、
それぞれ約1m程度離れたところです。勿論、相手を考えることが必要です。
28、リターンがよくポーチの餌食になるようであれば、二人がベースラインまで
下がって対応することも必要です。守備に徹したフォーメーションも考えたいです。
29、レシーブで考えたいのが、滞空時間の長いロブです。
これは味方の選手が相手に対応する時間的余裕を持つためです。
守備で大事なのはフォーメーションの立て直しです。
30、相手のフォーメーションを崩すレシーブの方法を考えるために
攻撃的なロブがあります。
これは前衛をターゲットにします。上手く頭上を越すと成功です。
31、守備と違うのは、攻撃的ロブは高さではなく前衛を越えることが必要なのです。
そのため、回転は逆回転で出来るだけ高い位置でボールを捕らえることです。
32、仮にボールにタッチされても良いように、
前衛のバックサイドに狙いを定めるのです。
それだと強打される危険性は薄くなります。不意を付く感じで上げることです。
33、このとき前衛はセンターに位置すべきです。
相手の返球まで時間差がありますから、
ネットに詰めておけば余裕を持って打球出来ますしプレッシャーを与えます。
34、ポーチはサーバーサイドに有効なのではありません。
効果的なレシーブで追い詰めた時はチャンスです。
返球の状態を見て躊躇なくポーチすべきなのです。
35、ロブに対してロブで返球する場合があるので、ポジショニングを早くから決めて
掛かる必要はありません。返球が浅くなったらスマッシュのチャンスです。
09/1/1
新年明けましておめでとうございます。
お陰さまで昨年も休刊することなくお読みいただくことが出来ました。
これも偏に読者各位のお陰と感謝しております。
今後どのような方向へ歩むか分かりませんが、
テニスを愛する皆様とともに歩みを続けたいと思っております。
今年も昨年以上の皆様の幸せを心から願っております。
よろしくご支援賜りますようお願いいたします。
<試合巧者のペアが心掛けている必勝法>
1、アンフォースドエラー(凡ミス)を減らすこと
試合巧者とは勝率が高いことを意味しています。
ミスを最小限に抑えているから勝利するのです。
先ずは凡ミスを無くさなければいけません。
2、サービスエースよりダブルフォルトを絶対しないこと
ダブルスでは、シングルスほどエースは取れません。
エースの爽快感に溺れて、ダブルフォルトを続けるのは、
意味なく相手にポイントを与えるのです。
3、相手のプレーを観察すること
試合は相手があって成立するものです。
自分本位の作戦やプレーが主体では勝てません。
相手をよく見てそれに対応したプレーをするようにしましょう。
4、必勝パターンを持って試合に臨むこと
確実に、ポイントを得ることが出来るパターンを持って、
試合に臨まなければ勝つことは難しいです。
相手を惑わせるような作戦を考えて試合に臨むのです。
5、出来ることだけ・・・をするのです
今まで、やったことのない技術を、試合で出そうとしても出来るものではないのです。
自分たちが出来ることを、試合の中で着実に行うのです。無理は自滅の元です。
<コートへ入る前の準備復習>
1、自分の性格や、プレースタイルを考慮して、パートナーを決めましょう。
基本的な決め方は、対照的な性格の人を選ぶのがベストです。
勝つためによく考えましょう。
2、レシーブサイドの決め方は、堅実的なプレーをする人が、
アドバンティジサイドに付くのがベターです。
試合を決定する大事なポイントはアドサイドが多いからです。
3、風向き、太陽の方向でコートの条件は変化します。
コートサイドはどちらでも同じではないのです。
練習をしていたコートにそのまま居座らず、優位な方を取りましょう。
4、サービスのキープ率が高い選手は、後からサービスをするようにしましょう。
プロは逆となります。スタートから一気に優位に立つことは難しいからです。
5、ペアが左・右利きの選手であれば、太陽の位置によって難しさを感じることがあります。
このように太陽の位置と風の向きは選手にとって試合を左右させます。
6、相手と、互角の力だったらレシーブを選択しましょう。
ブレークすればリードできるわけです。
基本では、粘って行くならレシーブ権を取りましょう。
7、勝利への第1歩は相手のプレーを見ることです。
出来れば対戦相手を観察しましょう。
試合前の練習でも良いですから見ることが必要なのです。
8、サービスキープはダブルスの基本です。
しかし、キープ出来なくても敗退するわけではなく、
プレーバックすればイーブンですから、リラックスしてサーブしましょう。
9、どのような種類のサービスを打つにしても、
大事なのはどこに打つかをイメージしてサービスしましょう。
レベルに関係なくイメージすることです。
10、サーブは相手のバックを狙うことです。
フォアの割合は20%で80%はバックです。
狙いを外す意味で、フォアを狙えばいいのです。
11、次いで、フォアの場合スライス回転を掛けてワイドに打てば、
得意のフォアでも動かなくてはならないので、
スピードはなくとも効果があるのです。
12、最後の狙いは身体の正面です。
これは、瞬間にフォアかバックかと決めかねるので対応が遅れるのです。
それで効果があるのです。この三点パターンを決めて実行しましょう。
13、前衛は、センターラインとシングルスのサイドライン、
ネットとサービスラインのそれぞれ中間です。
プレッシャーを掛けるならネット寄りに位置します。
14、前衛は、相手のレシーバーに自由に打たせないことです。
プレッシャの一つがポーチ攻撃です。
その効果は、レシーブより少し早く移動することです。
15、ポーチは前衛だけでは成功しません。
サーバーとの共同作業、コンビネーションプレーなのです。
前もって、サービスのコースを決めていれば後衛と合致するのです。
16、スピードのない、スライスのレシーブはポーチのチャンスです。
ボールは逆回転ですから浮いてきます。
打球点ではネットより高いからポーチしやすいのです。
17、レシーブの構えは、基本的にサーブがくる範囲の中央にいるのがベターなのです。
スタンスは、ベースラインと平行にはしないようにしましょう。
18、サーブにタイミングを合わせるには、
スプリットステップ(フットワーク)を使います。
サーブのインパクトに合わせて、軽くジャンプする方法を取ると良いです。
19、忘れてならないのは、サービスは入れる場所が決まっていますが、
レシーブは相手のコート内であればどこでも良いのです。
別にサーバー目当てでなくとも良いのです。
20、レシーブの基本は、深くコーナーへクロスボールと
ショートクロスの組み合わせです。
トップスピンである必要はないのです。攻撃範囲を有効に使うことです。
08/12/16
<ダブルスの上達方法について>
後輩から、ダブルス上達についてのアドバイスが欲しいとの連絡がありました。
誰もが、いち早い技術の習得をと思っているでしょうが、それほど簡単ではありません。
ダブルスの基本は、ダブルで相手に立ち向かう難しさを、
どれほどのコンビネーションで処理出来るかにあります。
シングルスに強い組合せでも勝てる保証はないのです。
現役中に、相手校でシングルでは5位6位のコンビに、
どうしても勝てなかった経験があります。
中学時代から7年間のコンビと聞かされて納得したものです。
これは、選手の性格的なものだけではなく、
相手の動きを察知して次への素早い変わり身は、「ア・うん」の呼吸であり、
説明をして理解できるものではありません。
だからと言って、それではどうやってそのような相手を見つけるかですが、
それは一方だけがいくら頑張っても駄目なのです。
互いにダブルスの基本を理解することです。
その上で、まず互いの特徴を考えながら、シフトを決めるのです。
フォアサイドかバックサイドか、前衛か後衛かなのです。
表現を簡単にするために「前衛」「後衛」とします。
「前衛」の特徴は、バックハンドに力があることです。
それはストローク・ボレー等オールラウンドに及びます。
「後衛」は、逆にフォアハンドに特徴を有することです。
その理由として、パートナーがサウスポーであれば、
必然的に互いの持分は即決するのです。
これは、試合においてサイドをケアする意味合いがあるからです。
ペアが決まり、ダブルスの基本を認識することが出来たら、
次は試合に際して、どのような方法で対処するかを考えなければいけません。
それが試合に対する姿勢です。
試合は、アンパイアのプレーボール宣言で始まるのではなく、
試合前から既に始まっています。
単純に、時だけを追っていたのでは勝つことは難しいのです。
試合開始に伴い、軽い運動で身体を解すのは当然の行為です。
コートに入ると打球練習が始まります。
この時、天候状態を素早く把握します。
先ずは、風の状態でコート上でどのような動きをしているのか?
いずれが風上か風下か。
その抵抗程度はどうなのか?コート上で舞うことはないのか?
次いで、太陽の位置があります。
この位置判断はストロークでも大切ですが、
特にロブの使用については確実に把握する必要があるのです。
これが試合を左右します。
始まるに際して、相手とのやりとりで大事なのが「トス」です。
これで、最初のやりとりが試合の行く末を占うことになるのです。
それほどのウエイトを占めています。
トスはサービスの選択権を意味します。
負けた場合はコートを優先的に選択できます。
コートチェンジは奇数ですから、
太陽の位置を考えた時、開始時は正面に太陽を置くべきです。
奇数でコートチェンジですから、太陽を正面にする戦いは減少するのです。
加えて、ロブの使い方を考えると、太陽を背にしたときその効果は倍増するのです。
これだけの事を、試合前に確認しあってその対処方法を考えれば、
後はこれらの自然現象を有効に使って、試合を優位に展開するべきなのです。
勝つためには、自然現象さえも自分の味方に付けるべきなのです。
どのようなことでも、自分に優位になることであれば
それを存分に使わなければいけないのです。
些細なことですが、あなたはコートへ入った時点で、
ネットの高さを確認したことがありますか、
ネットの高さや張りは大事なことです。必ず確認して欲しいものです。
試合前の作業を済ませ心を落ち着かせて、
相手を意識過ぎることなく自分のテニスをするための準備は出来たと確認し、
元気よく始めて下さい。さあ、プレーボールです。
<今月の言葉>
「思いは必ず達す」
「上手くなるためなら、どのようなチャレンジも厭わない」
「サイボーグのように正確なスイングを目指している」
(頭がブレない)
「グリーンを外しても、リカバリーショットに気持ちを切替える」
「前へ」 明大ラグビー部 北島監督の言葉
「才能がないから努力する」
「基礎練習の繰り返し」 (ボールは打たせない)
「自分を励まして、褒めて上げよう」
「人間は思うような人間にしかなれない」
プロゴルファー 片山 普呉
08/12/01
<伊達の全日本女子テニス優勝の功罪>
今年の全日本テニスでは、「16年ぶりの優勝」と「伊達女王の輝き」
の言葉が紙面を覆っています。これを、いままでにない複雑な気持ちで眺めています。
確かに、今大会での伊達の動きは素晴らしいものがあります。
まるで全盛期に近い動きには、若手がつけ入る隙がありません。
それほど充実していると思います。
あのままテニスを続けていれば、16年間連続優勝をしたのではないかと
思わせたものです。どこにその強さがあるのでしょう。
練習だけが支えたものではないと思われます。
この優勝を契機として、日本テニス会は反省しきりではないでしょうか?
それがあって、次へのステップアップがあると思われますが、実際面ではどうでしょうか?
伊達優勝記事の隣にコラムがあり、表題には「10年の停滞あぶりだす」
そのサブタイトルが「ぬるま湯体質指摘」とあります。
短い言葉ですが関係者各位はギクリとしませんか?
12年のブランクを超えた38歳の快挙は、一方で10年余りの停滞と
層の薄い現状をあぶりだした。と書き出しています。
その原因をコラムでは次のように指摘しています。
伊達が引退した1996年末には、世界100位以内に6人の女性を送り込んでいた。
現在は31位に杉山が一人、
今回の全日本で伊達からセットを奪ったのは一人だけであると。
選手強化を選手個人に任せきった「空白の10年」の付けが回ってきた格好と念を押し、
それによる選手のぬるま湯体質に厳しい眼を向けています。これが現実でしょうか。
TVで、松岡氏が伊達の活躍を手放しで絶賛していましたが、組織的には分かりませんが、
彼がテニス協会の一員であるなら、その言葉には素直に首肯できないものがあります。
何故なら、指導しなくてはならない立場にいて、今回の粉砕された若手の活躍を、
どのように解釈をして伊達を褒めたのでしょうか? ひとごとではないはずです。
コラムに追記していた伊達の言葉に
「国内を抜け出して世界に眼を向けることでタフになっていく。
強い意志を持たないとトップに行ける世界ではない」をどう受け取るのでしょう?
しかし、これらは周知の事実であり、今更と言う気持ちが強いのも事実です。
いずれにしても、今の若手もタレント扱いの慣れてしまい闘争心が全く感じられないです。?
地に足を付けた、しっかりとした指導が今こそ大事ではないかと思います。
外人に対してはハングリー精神を取り上げ、
日本選手には甘い体質こそが原因ではないでしょうか
選手には、素質があって練習を怠るケースと、
素質がなくともテニスが好きで猛練習をするというタイプがあります。
いずれの場合も目標は同じなのです。
選手は、指導者次第で如何様にも変わるものです。いや変わると信じています。
選手は練習することに必至になっています。しかし、がむしゃらに練習しても駄目なんです。
科学的なチェックを必要とするのです。それは自分だけでは限界があります。
第三者的な見方、一寸引いた形が求められるのです。
選手には自在な練習をさせるべきなのです。
これも何度か言いましたが、よく速習法にあるように
即ベテランに早代わり出来ることを宣伝していますが、
これらは選手の努力を蔑ろにするものだと危惧しています。
それほど楽に、テニスを習得できるなら問題はないです。
その著者が、試合にすぐ参加出来るほどの実力を約束をしてない、
というならこれほど馬鹿にした話はないです。
<後輩の試合を見に行きました>
まず、ダブルスの基本が出来ていないです。
何度も言ってきましたが、ペア同士がバランスの取れた動きをしてないのです。
前衛が何故いるのか? 後衛は何をしなければいけないのか?
このバランスが大事なのです。動きが相手に分かってはどうしようもないのです。
次に、前衛はポイントを上げるためにいるのです。
と言うことは、手を出す以上は決めなければいけないのです。
ともかく意味のないポーチが多すぎます。
ダブルスでは、前衛がサイドを抜かれるのは屈辱であることを忘れてはいけません。
サイドを抜かれると誰もサポート出来ないのです。
後衛が、相手を苦しめて切羽詰った返球を、
角度を付けて打球すれば一発で決まるのです。
絶対に一打で決めると言う気持ちが大事なのです。
ロブの使い方ですが、ロブは高さより上げるタイミングが大事です。
相手がポーチしようと、前進するタイミングで上げれば有効な攻撃となります。
そのためにも、ロブはドライブとスライスを混ぜることが必要となります。
そのためには咄嗟の判断で切り替えが出来るように、
自分の決め手を持つことが大事です。
サービスでは、トスが高すぎて身体の軸がブレたり、
スイングは良いのですが、スイングする右腕が肝心のインパクトで曲がったまま
ですから威力がありません。
ストロークでは、今流行の厚いグリップで被せるように打球していますが、
手先で打球処理しているのでボールが軽いです。
ボールを引き付けて身体を使ったスイングが必要です。
共通しているのは、攻められるとロブを多用することです。
これだけロブを使うなら、もっとロブを研究しなければいけません。
上げ方一つで相手を翻弄できるのです。
ボレーは、ラケットヘッドが手首より下にあります。
これでは力強いボールを打つことは出来ません。
相手のボールに負けないためにも、ヘッドを手首より上になくては駄目です。
08/11/15
<後輩のOB対抗戦を見ました>
動きの良いのはやはり卒業後僅かな時間です。
それこそ見る間に身体の動きは極端に悪くなります。
トレーニングを休み時間が長くなると、回復も長く掛かります。
ただ。基本をマスターしている人は回復も早いですし、
同じようにプレーしているようですが動きが違います。
特に膝から下の柔軟性に差があるように思えます。
その中で、60歳を経過した年齢で、
元気にプレーしている後輩を見るとさすがだなと思います。
動きは鈍くても的確です。自然にボールの傍にいるのは見事です。
サービスにしても、スピードはないがダブルフォルトが殆どない。
やはりサービスの優位性を認識しているから、
良い場所へ入れて相手のミスを待つ心境でしょうか。
いずれにしても、アンフォースドエラーが現役と比較して極端に少ないのは事実であり、
これはテニスはエラーの競技だ、という事を認識しているからでしょう。
これらは、そのOBがどの時点で収穫したかは分かりませんが、
その気持ちを現役時代に持っていれば、
もっと勝率はレベルアップしたのにと思ったかも知れません。
OB戦での期待は、後輩のレベル把握でしょう。
それも今のレギュラーではなく、セカンドレギュラー以下の成長です。
後に続くものに期待がないでは寂しい限りです。
ですから、観戦する時はその連中に注目します。
注目の内容は基本的に技術ですが、
OBとの試合を通じてメンタル面をチェックするのも楽しみの一つです。
その試合で、一番に感じたのは、すべて力一杯の処理でした。
常に行う、眼一杯のスイングは相手を無視し、自己陶酔しているように思われてなりません。
その点、上位ランクの選手は、ボールに合わせた処理をしています。
やはり相手を見る余裕があります。だから、試合をさせるとその差が歴然となるのです。
<全日本女子テニスから>
いまの女子は、男子以上にスタイルが変化していると思われます。
これはラケットの影響が大きいでしょう。
両手打ちの更に力を入れ打球方も変化に拍車を掛けています。
確かに、練習次第で男子と肩を並べるのも不可能ではないでしょう。
しかし、基本的な体型とか身体の作りに考えが及ぶと、
その力不足は否めないと思われます。
これは特殊な訓練を受けた人の話ではなく、
一般の人を中心にした考え方を言っているのです。
テニスを普及させるために、特殊な訓練や練習が必要では困るのです。
さて、試合の内容ですが、相変わらずクルム伊達が大きく報道されています。
ランク選手の動きなど全く関心が無いようです。いつもながら極端ではないですか?
それにしても、しばらく競技に参加していない伊達に対して、
現役の不甲斐なさはどうでしょう。無様と言うしかないですね。
呑み込むような精神力の強さはどこに?
期待していた奈良くるみにしても、スコアから見ると粘りがなく、
後半は伊達の老練さに押し切られた感じで、これでは女子テニスの先々が不安で一杯です。
何故、押し切れないのでしょう。
伊達が過去どのような成績であろうとも、既に過去の人です。
いま、必至に自分を取り戻そうと努力している姿は立派です。
しかし、このような表現は失礼でしょうが、一旦メンタル面を含めて解放した選手です。
本来なら、同じ戦場へ立てる状況ではなかった選手なのです。
若い連中が、過去の伊達に怖れを抱いていてはどうしようもないです。
心の中で、伊達の今までの成績を、先輩として充分評価するまでが限度です。
伊達に負けるようでは駄目です。
ならば、それ以上の練習をすることです。技術面では負けてはないです。
試合で負けているのです、しっかりしましょう。
いずれにしても、「伊達さん休むと大変ですね」
程度のことは思えるようでないと駄目です。
何も言葉にしなさいと言うのではなく、それくらいの心構えが必要です。
<今月の言葉>
バッターボックスでは、いつも自分は世界一だと思っている。
人間だからミスはある。それは周囲の人が言うことで、自分が言ってはいけない。
また、プロはそのミスをしちゃいけないと言う強い心で望まなければいけない。
この一球は二度とない。
「終わり」まであきらめるな。
後悔したくないなら、そのためにどれだけのことをやったか?
目標を持つと「しんどさ」も軽減される。
スランプのときこそ、新しい打法を作れ。
ユニフォームを脱いでも野球選手だ。
王 貞治
08/11/02
<錦織の試合欠場>
疲労性膝痛で、今季の残り試合欠場を決定したようです。判断が遅いと思います。
周囲にアドバイスする人がいなかったのでしょうか?メディカル担当がいたのでは?
先日読者から、伊達が練習のため記者会見放棄「?」をしたと聞きました。
一言で言えば、プロとしてあるまじき行為であり、我侭だとの意見を述べました。
プロになるのは安定した収入を得るためです。
これが根底になければプロとしての資格はありません。
プロとアマとの大きな違いはここにあると思っています。
そのプロが為すべきことは何か? 試合に勝つことです。
勝つために何をしなければならないか?その手段は一つではないのです。
極論すればプロの一日全てを包含しているのです。
試合欠場・記者会見放棄、これらはすべてプロとしての資格欠如と言われても
仕方ないのです。自分の収入がどこから捻出されるか考えて欲しいのです。
練習は、技術の習得だけではないのです。心身の鍛錬全てを包含するものなのです。
アマでは、技術が飛び抜けていればそれだけで勝利は可能でしょうが、プロは違います。
その認識を充分に持って対処しなければ、
遂には落伍者となるのは眼に見えていると言えるでしょう。
本人が、どのようにこれらを認識するかなのです。
彼らの行為を我侭と言いましたが、もっとくだけて言えば身についていない実力を、
過大評価しているに過ぎないとも言えるのです。大言壮語するのは小物だけです。
<チューリッヒオープンでのビーナスとイワノビッチの試合>
結局イワノビッチは負けましたが、あの強打でビーナスと互角に打ち合っていました。
印象深かったのは下半身の粘りでしょうか、その強靭さには驚きました。
膝が、コートに接触するのではないかと・・、そのフォームに下半身の粘りを感じました。
どちらかと言えばひ弱な感じでしたが、その精神力の強靭さにも驚かされました。
相手がビーナスの場合、サーヴィスを破ることは至難と言えます。
だから、自分のサービスだけはキープするのが必要となるのです。
それを如実に見せてくれました。
なかでも、イワノビッチがビーナスのレシーブに対応出来ずに、
0−40から挽回したゲームは素晴らしかった。
自分のサービスを落とすと不利は事実なのです。
そのときのメンタルの強さでしょうか、ある種の開き直りかもしれませんが、
いままでの劣勢を挽回する、精神面のタフさには驚くしかありません。
どこにそのような力があるのだろうかと、イワノビッチを見ていると実感するのです。
自分が好きなタイプの選手だけに、余計にそのような気持ちになるのでしょう。
技術もさることながら、彼女に惹かれる大きな魅力は、試合に於ける態度です。
ウインブルドンでネットインした際、ネットに思わずキスしたのは愛くるしい態度でした。
いままで彼女の試合を見ていて、どのような窮地になっても、
それが自分のエラーであっても、ラケットを投げる所作を見たことがないのです。
これは素晴らしいことだと思います。日本選手全員にしっかりと真似て欲しいものです。
これは気持ちに余裕があるからだと思います。
切羽詰ったところへ自分を置かないからでしょう。
形を変えれば、自分を冷静に傍観しているのかも知れません。
しかし試合終了後の嬉しそうな笑顔は、
もっとも人間的な喜びの表情でありいつも感心しています。
<プレヤー敗戦時の心境は>
先日、TVを何気なく見ていると、
プロのテニスプレヤーに敗戦時の気持ちを聞いていました。
その中で全てのプレヤーに共通していたのは、当然ながら負けた悔しさ。
次に上げたのが、敗戦を挽回するための練習をあげました。
その際に忘れてならないのは、前の試合の反省でした。
激しい練習をプロとして当然のことと受け止めていました。
順序は違っていましたが、二つの表現は間違いなくすべての場合にありました。
プロ選手は、どのような場合にも負けず嫌いで、それを挽回する練習は当然なのです。
<今月の言葉>
* 自分のミスに自己嫌悪
* 「念のために」を徹する
* 無力だからこそ あきらめない
* とことん納得がゆくまでやる
細田 孝夫 上野動物園・飼育担当
08/10/16
<テニス解説者の実力>
解説者は、どのスポーツから始まり、いつからそのような呼称が使われたかは
よく知りません。しかし、いまやすべてのスポーツに解説者は存在します。
一番困るのは、現役中にタレントであったり有名人であった方です。
決して力不足とは申しませんが、自分の経験値だけを遵守するのは止めて欲しいものです。
これもTVの申し子なのかも知れません。
画面の中で行われる競技も、先ずはルールを知らなくては興味が湧きません。
タレントを追いかけるわけじゃないですから。
解説者は本当に難しいと思います。
まず、自分の言葉についての責任をどう考えるかです。
自由な発想で、好きなことを言ってはいけないと思うのです。
次いでルールを熟知していることです。
タレント扱いで好きなことを喋らせ、それをキャラクターとして、
喜んでいるアナウンサーには困ったものです。
そのような解説者は喧騒でしかありません。
そのような場合、申し訳ないですがボリュームを下げて画面だけを楽しみます。
好きなスポーツでは、自己満足解説者は不要です。
解説の内容では、主観と客観を明確に区分しなくてはいけません。
見る人や聞く人に、主観を押し付けてはならないからです。
一方的な考えは押し付けになるのです。
この意味からも、タレント活動をしている人を、解説者にしてはならないのです。
自分を売り出す動作が見え隠れするため、自分の意見が優先しているからです。
解説者の基本的な姿勢として、共通事項は競技者に100%を要求することでしょう。
その要求は致し方ないのです。何故なら、勝つためには当然だからです。
先日、錦織のスペイン大会での準決勝戦の解説で、
膝を痛めている現状を労わる積もりなのか、
今日が最後ではないから、試合に負けても良いとの表現がありました。
錦織は10代であってもプロです。プロはお金を稼ぎ選手生活を保持しているのです。
試合に出れば最後まで全力で戦うべきです。それがあって初めて認められるのです。
しかし、解説者の表現は彼に同情した甘やかしです。
失敗したら何やってんだと叱咤激励しなくてはいけないのです。
プロが甘えていては駄目です。何故庇うのでしょう。
それを彼が喜ぶとでも思っているのでしょうか。
彼が、それを受け入れるなら世界ランクを目指す選手とは思えません。
プロである認識の甘い選手が大成するわけないのです。
錦織の最近の試合態度で気になるのは、感情の表現がもろ出ることです。
一番嫌なのは、ラケットをコートに投げる態度です。これだけは許せません。
このような態度はプロとは言えないです。
ラケットは、自分の競技を支えている最も大事な道具です。
それがあるから、自分は競技を続けられる自覚が必要なのです。
料理人が、思うように出来ないからと、包丁を投げますか?
ラケットは壊れれば新品があると思っていませんか?
どのスポーツにも「道」を極めるべきなのです。
<ジュニアの試合を見ました>
男女とも外国選手との対戦となりました。
いずれもひ弱さを感じさせられました。よく言われる生活感の欠如でしょうか?
何となく力強さを感じられません。
目立つのは、アンフォースエラーの多いことでしょうか?
ストロークの力強さでは負けてないのに、自分からエラーをしていては勝てるわけないです。
次いで目立つのは、サービスのひ弱さです。
錦織のサービスは最近力強さが目立っています。
このように、自覚すれば改善は出来るのです。
それほどの上達も、相手選手のサービス力には勝てないのです。
勿論体力的なものもあるでしょうが、それ以上に支配していたのは
コントロールではないかと思われます。
特に、相手に変化を感じさせるコントロールは、天性だけで賄えるものではないのです。
現状では、サービスをどう狙うのかが大事な戦術となるのです。
このように考えると、その場所へ的確に狙えるコントロールは練習しかないのです。
特に、サービスは誰の援助も必要ではなく、自らの努力で出来るのです。
次いで、気になったのは下半身の弱さでしょうか?
しっかりと両足を踏まえたストロークが、失われてきているように感じました。
気持が焦るのか身体が浮いています。
そのため、試合中のストロークには負けていないのに、身体が浮き
相手に押されてしまうのは、構えが浮ついているためではないかと思われるのです。
加えて、錦織のエア・ケイに似たショットが、垣間見られるのは余計に心配が増えます。
あのショットは、彼にしか出来ないものです。物真似は非常に危険です。
* 68才で理想の旅を求める
* 今日の自分を追い越そう
* 今でも自分は駄目だと、何の衒いもなく言い切ることが出来る
* 背伸びはしない。
声が出ないときは出そうとしないで、そのときに出る声を上手く使う。
* いま持っているもので今日を演じる
* プロとは、本人の自覚とは関りなく、今を一生懸命すること
柳家 小三治
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